前回の記事では、電子メールの利用に特化したレンタルサーバーを選定するポイントについて解説しました。電子メールはウェブサイトを公開するのと比べると、データ容量が少ないため、容量は最低限にしコストを抑えることや、安定性の高さ、セキュリティ機能、サポート体制が重要なポイントとしてあげました。
今回は、これらの選定ポイントを踏まえた上で、おすすめできるレンタルサーバー業者を比較していきます。
お名前ドットコム「お名前メール」
GMOインターネットのお名前ドットコムが2016年3月よりメール運用のみに特化したサービスとして「お名前メール」を新たに提供しました。
お名前メールは、月額最低42円からと低価格で独自ドメインを利用したメールの送受信が利用できます。受信方式としてPOP3とIMAP、送信方式としてSMTPが利用できますので、パソコンやスマートフォン、タブレット端末のメールソフトでの送受信が可能です。また、ウェブメールにも対応していることから、面倒な設定が不要で、ウェブブラウザで管理画面にログインするだけで簡単にメールの管理ができます。
セキュリティ機能としては、メール送信時にSSLで暗号化して送信できることに加え、ウイルスチェックの機能を標準で搭載しています。
プランは「ライトプラン」と「スタンダートプラン」の2種類用意されています。
ライトプランは、12ヶ月払いで500円(月額換算42円、1ヶ月払い90円)で1GBのディスク容量に加え、1つのドメインに対してメールアドレスが無制限で発行できます。
スタンダートプランは、12ヶ月払いで920円(月額換算77円、1ヶ月払い160円)で、ディスク容量10GBに加え、利用可能なドメイン数が20ドメインと複数のドメインでの送受信ができます。発行可能なメールアドレス数は無制限です。また、スタンダートプラン限定して、サブドメインのメールアドレスの他、セキュリティ機能としてオプションで月額85円でスパムフィルタが利用できるほか、メーリングリストが10個まで作成可能です。
サポート体制も手厚く、24時間365日のサポートが受けられます。
さくらインターネット「メールボックス」
さくらインターネットがメール運用に特化したプランとして「メールボックス」を提供しています。
メールボックスの利用料金は、年額1029年で月額に換算すると86円から利用できます。ディスク容量は10GBで、最大20個までのドメインの設定ができるほか、サブドメインに対応しています。さらに、メールアドレスの発行も無制限で可能で、メーリングリストに関しては10個まで作成できます。複数ドメインで多くのメールアドレスを利用したい方はディスク容量も気にする必要もありませので最適といえます。
メール受信方式としてはPOP3とIMAPに対応、送信方式としてはSMTPに対応していますので、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などメールソフトがあれば、あらゆる端末でメールが利用できます。また、メールソフトがない場合でも、ウェブメールを標準で利用できますので、外出先や緊急用途でも管理画面にアクセスすることでいつでもメールの管理が可能です。
また、セキュリティ機能は迷惑メール対策やウイルスチェックなどが標準で利用できます。また、さくらインターネット側で自動的にサーバーのバックアップを行っていますので、突然の障害やデータ紛失においても、安心して利用できるといえます。
さくらインターネットの「メールボックス」の大きな特徴としては、グループウェアである「TeamON for SAKURA」が利用できる点です。「TeamON for SAKURA」は現在ベータ版であり無料で利用できますが、将来的に、ビジネス用途で複数の従業員とスケジュール共有やタスク共有などを検討している場合、メールサービス以外に合わせて検討できることから、スモールビジネスなどの利用に最適だといえます。
カゴヤレンタルサーバー「メールプラン」
カゴヤレンタルサーバーの「メールプラン」は、メールの利用に特化したプランではありますが、サーバーのディスク容量が20GBと大容量かつ機能が豊富である点が大きな特徴です。
ディスク容量が多いため、メールアカウントの発行が無制限である他、サブドメインでのメールアドレスの発行も可能です。そのため、中小企業などビジネス用途での利用に最適で、従業員に個別でメールアドレスを発行したり、プロジェクト毎にメールアドレスを発行するなど、柔軟にメールアカウントの管理ができます。
また、カゴヤレンタルサーバーメールプランの最大の特徴としては、メールソフトでの設定が可能なPOP3やIMAPによる受信方式に対応している他、高機能なウェブメール「Active mail」で、パソコンだけではなく、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末などマルチデバイスでのメールチェックが可能な他、メールソフトで通常利用可能な、署名の挿入やマクロ挿入といった通常使用する定型文を自動で呼び出して本文に挿入できる機能など、効率的にメールのやり取りが可能です。
セキュリティ機能として、ウイルス対策や迷惑メール対策が標準で利用できます。また、メール送信時、サーバー側で暗号化して送信するため、メールの中身が改ざんや盗聴される心配がなく安心して利用できます。さらに、添付ファイルを自動で暗号化してくれる他、オプションで月額259円でメール誤送信を防止する機能「Active gate!」により、情報漏えいなどを未然に防止でき、セキュリティ機能も大変優れています。
利用料金は月額540円で、12ヶ月一括で支払う場合は5184円(月額換算432円)と、他社よりもお値段は高めですが、ディスク容量が20GBと大きいことやウェブメールが高機能である点、セキュリティ機能が高い点を考慮した場合、ビジネス利用であれば最適な価格設定だといえます。